ソウルドロップの幽体研究 上遠野浩平 (ISBN:4396207859)

微妙にネタバレを含む感想。


どうやらこれはあの自動的な存在とはまた別な死神*1のお話の様で、例によって上遠野ユニバースの一幕。
物語の舞台も自動的な存在が浮かび上がるあの世界そのもの、もしくはそれに非常に近しい世界の様だ。
かじってる人間には見知った名前がちらほらと浮かぶだろう。


個人的に気になるのがあの自殺した少女の片鱗で、絶対真空の虚空を彷徨う人類を描いた著者の別のお話にも
絡む彼女の存在は何を示唆してるのかいまいちよくわからない。またあっちの死神の話も読み返してみようかな。


さらにネタバレを含む推測というか妄想。(反転)

みなもと雫も水乃星透子の元巫女に思える。今後他の話に彼女と似たような存在で出てくる可能性あり。
また、怪盗は死神と過去に邂逅していると思われる。
 いやまぁえらいどうでもいいレベルの話だな。


閑話休題


まぁこの本から入った人間にこの手の内容がどう映るのかはななだ疑問。
意味不明なものは意味不明なまま終わってもよいスタイルなのかしらん。


いずれにせよお話は始まったばかりで伏線も張られたまま、今回はキャラ紹介みたいなものか。
無論それだけではなく、相変わらず魅力的なキャラクター郡と文体に引きずり込まれスラスラと
読み終えたわけだが・・・。


正直なところ戦地調停士シリーズのような毒が感じられず、食い足りない。
個人的にはあのシリーズの続きのが読みたい。



なお、余談だが英語で「Paper Cut」と言えば通常は紙で切った「傷」のことを指すと思われ。
新しいコピー用紙やわら半紙で指を切ったりしたときのアレで、「紙切れ」はせいぜい「a piece of paper」である。

*1:実際は怪盗、もしくは殺し屋とも称されていたが